うえだ小児科医院

薬について
薬を使う治療は現代医療では一般的ですが、すべての患者さんに必要なのでしょうか?

【薬の効果】
根治薬:抗生剤のように病気の原因そのものを解決できるものは、診断が正しく適切な薬が使用されれば劇的な効果があります。
例えば中耳炎や溶連菌感染症では投与後1、2日で症状がとれます。
対症薬:解熱剤、鎮咳剤、鼻を止める、下痢止めなどほとんどの薬はこちらに属します。
ただし根本的な解決にはならないので効果は限定的で1、2日で症状がとれる事はまれです。

【認められている効果は本当なの?】
我が国で長く使用されて来た経口抗がん剤の5FUという薬と、消炎酵素剤と言われてノド痛や痰などにお土産処方と言われる程汎用され続けた薬が、近年になり効果を再確認した結果、全く効果は確認できなかったとして販売中止になっています。
アメリカでは、小児科学会により市販の総合感冒薬の効果は全く確認されずトラブルが多く報告されているとされたため販売中止になっています。
薬は国の発売許可を得ているので、何らかの薬効が認められている事になりますが、咳止めは直ぐに咳が止まる事は意味していないし、下痢止めも直ぐに下痢が止まる訳ではありません。
そのような方向に働くという意味だと解釈されます。

【薬の弊害】
副作用:どんな薬にも副作用のリスクは避けられません。
副作用がひどいか軽いか、よくおこるか稀にしかおこらないかの違いがあるだけです。
サリドマイドのように販売後長い年月を経て大きな副作用のため販売中止になった薬は後を絶ちません。
小児への薬では、テトラサイクリン系薬剤のように治療法がない着色歯(茶〜灰色がかった歯の大人をみた事がありませんか?)の副作用が後ほどわかり、年齢の使用制限が追加されたケースもあります。

【副作用ではないが】
抗生剤の乱用により耐性菌(使われ続ける抗生剤がだんだん効かなくなる現象)が増加し、とくに保育園児の中耳炎が治りにくくなっています。
新薬は必要最低限の使用にしたいのですが、公費補助があって薬代が高いことは問題にならず、両親からすぐの結果を求められるため効きやすい薬から最初に使う風潮が大きく、耐性菌の問題は解決しそうにありません。
何らかの症状に対して必ず薬を使う医療を行うと、自然治癒と比べる事が出来ません。
自然治癒としか思えない経過でも、心配をしている両親は薬を飲まなければもっとひどくなったのではと間違った解釈をするため、次回からも必ず薬を使わざるを得なくなります。
集団生活にはいったこどもは頻回に病気をしますが、80%以上は経過観察のみで自然治癒する病気です。
必ず受診しそのつど毎回投薬を受けるという医療を繰り返すと、自然経過をみて受診の必要を自分で判断する事が出来ず、受診して薬をもらわなくてはなにかあったらという不安にかられ、たえず心配を抱えた状態になります。
これに対して、受診したときに診断結果と投薬の必要がないことを説明し、自然経過の観察で治癒する経験を繰り返すとこどもの病気に対する取り組み方が大きく変わります。
気持ちもゆったりと持てて不安とイライラが減るのではないでしょうか。
この問題が副作用などよりもっと深刻な弊害で、医療費の増大、救急医療の過剰な受診なども原因は同じだと考えています。

【それではどんな時使うのか?】
まず病気が自然経過で治るのか、薬を使えば確実に効果が期待できるかを判断し、病気に対して根本的な治療となるような場合は副作用を考慮して使用を考える事になるでしょう。
また、自然経過で治っていく病気でも、その間に我慢が出来ないほどの症状があればQOLを上げる目的で所用する事もあります。
例えば痛み止めや解熱剤はそのようなお薬です。
自然経過でなおる病気で、薬は効果があまり期待できないとすれば副作用のリスクだけが残りますから、咳、鼻、下痢などは少し我慢してお付合いしたらいかがでしょうか。
本当に治療が必要な咳や下痢の病気はいつもとは程度が全く違います。
おこさんを一番気にかけているのはお母さんとお父さんです。
ご両親に「いつもとちがう、なにかおかしい」という感覚がわからないはずはありませんからご安心下さい。

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更新日:2012-10-23

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