うえだ小児科医院

小児救急医療
こどもの救急医療が危機的状況にある事はみなさんもご承知の事と思います。
市の小児科医会代表として小児救急医療委員会へ長い間出席してきたので、みなさん方に理解していただきたいことをまとめました。

【救急医療の体制】
1970年代のはじめには、救急の患者さんが診察を受けられずに命を落とす事が全国で相次ぎ、各地で救急医療の体制作りが行われました。
静岡市においては、1975年に市医師会の提唱により市内各病院の協力を得て静岡市が静岡医師会に隣接して静岡市急病センターを開設しました。
その後、2005年に急病センターは城東福祉エリアに移転し、内科、小児科に加えて外科も開設し3科体制となりました。
そして2013年春からは東静岡に移転して、旧静岡市と旧清水市を統合した救急医療をになう事になっています。

現在は市の救急システムに医師会と公的病院が協力する形で全国的にみればかなりうまく運営できているといえます。
ただし市行政の医療サービスに市以外のさまざまな医療機関が協力をしてはじめて運営可能ですから、一歩間違えば・・・というほど多くの困難が伴います。
小児救急医療においては、市民の「こどもは小児科医に看てほしい」という要望に応えて、原則として小児科医が診察をしています。
ところが小児科医は内科に比べて数が圧倒的に少なく、たえずオーバーワークになっていることに問題があります。

現在は急病センターが年間を通して19時から22時までの一時救急を行い、土曜日の午後からと日曜日の朝から19時までは当番の小児科診療所が担当しています。
いずれの場合も、二次救急が必要な患者は輪番で行っている公的病院へ紹介します。
小児科の診療所の数は内科の10分の1程度ですから、輪番が回ってくる日数は多く、二次救急病院も小児科医の数は内科医のやはり10分の1に近い数ですから当直が多くなります。
とくに二次救急を引き受けている病院小児科医は、二次救急の患者さんの対応を一晩中した後にも翌日の診療を行っている事が多いようです。
前日の朝から翌日の夕までの連続勤務になれば32時間勤務となります。
これに対して内科医は数が多いので、当直翌日には仕事の調整も可能のようです。
このように、今のところは小児科医のボランティアに近い献身的な努力で何とか成り立っている小児救急ですが、このままコンビニ受診と言えるようなケースが続くようであれば、最初に二次救急のシステムが崩壊すると予想されます。
小児科の救急医療が破たんしないために、みなさん方のご協力をお願いします。

【それではどうするか】
病院小児科医の数を増やす事は極めて困難で、現実的な方法でない以上、受診するお子さんの数を減らすしかありません。では不要不急の受診を減らすにはどうしたら良いでしょうか。
どうせ昼と同じ500円の自己負担なら時間外に受診する方がご両親にとっては便利かもしれません。
しかし、軽い気持ちで病院勤務医の仕事を増やす事がシステム崩壊の大きな原因である事を考えていただき、自分の都合よりまずは小児救急医療の社会体制を大事にしていただきたいと思います。

そもそも救急医療は、通常診療までの間にどう対応したら良いかわからない、悪くなりそうで心配な場合に受診できるように提供されているサービスです。
この条件をしっかり守っていただければ、受診者の数は大きく減り医療担当者の負担は大いに軽減されます。
最悪の場合にシステムが崩壊して困るのは皆さん方自身だと思います。
患者サイドと医療関係者サイドの支え合いの上でしか、救急医療システムは続けられない綱渡りである事を良くご理解下さい。

具体的には、日常的によく見かける咳、鼻、下痢、微熱、発疹、蕁麻疹などがあっても、食事をとってご機嫌もさほど問題ないなら、ぜひ翌日の通常診察を受けていただけたらと思います。
半日早い診察と治療が必要なケースはほんの一部でしかありません。
翌朝に元気になってしまえば診察の必要もない事は言うまでもありません。

【相談サイト】
受診に迷ったら電話相談をしてみる、ネットで少し調べてみるなどをしていただくと参考になると思います。
電話相談:#8000
インターネット:http//kodomo-qq.jp
日本中毒情報センター:www.j-poison-ic.or.jp/
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更新日:2012-10-22

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