うえだ小児科医院
予防接種U(最近の話題)

B型肝炎ワクチン

 B型肝炎ウイルスの持続感染者(キャリア)はアジアからアフリカにかけて高蔓延国が多く、全世界平均では6%といわれます。日本は約1%の低蔓延国ですが、それでも約130万人のキャリアとなり、本ウイルスを原因とする肝臓がんによる死亡者は年間約5000人、肝硬変による死亡者は約1000人と推計されており、子宮頸癌による死亡者数の2倍以上に達しています。
 そのため日本では約30年前よりキャリアの減少を目的に、出産時の母子感染予防に力を入れ、大きな成果を上げてきました。
 しかしながら、この措置ではキャリア化を予防出来ない小児患者も多い事がわかってきました。また、若年成人を中心に現在も年間6000人以上の新規感染者が出ていると推計されています。これらは血液だけではなく、唾液、汗、涙、尿や精液などの体液を通じて感染する、いわゆる水平感染とされる経路が原因と考えられています。
 とくに3歳以下の乳幼児が父親や兄弟から、または集団生活の場で水平感染を起こすと、急性肝炎を発症せずに無症候性キャリアとなる率が90%と極めて高く、その後は患児が感染源となり二次感染が広がる原因となります。とくに配偶者への感染リスクは大きな問題となります。無症候性キャリアのその後は、急性肝炎や慢性肝炎に悪化する事も多く、肝硬変や肝癌になるリスクも一生背負います。
 成人では性感染症と位置づけられる感染が起こると、20−30%が急性肝炎を発症し、一部はキャリア化する事がわかっています。
 このため日常生活を通してB型肝炎ウイルスに感染する水平感染を視野に入れたワクチンによる感染防止対策がWHOからも強く求められています。
 すでに世界では194カ国のうち183カ国でワクチン接種が実施されており、非接種国はアジアでは我が国のみであり、他にはアフリカに数カ国と、低蔓延地区の北欧に数カ国あるのみです。
 乳児期に本ワクチンを接種すると95%以上の高率に免疫獲得が可能で、感染予防効果は20年以上継続すると言われています。
 我が国では平成28年度からB型肝炎ワクチンの定期接種化が予定されていますが、1歳未満のみが対象となるようです。乳児期のワクチン接種が肝要な事を鑑み、3歳未満にまで接種対象者を拡大する特別措置を医師会より静岡市には要望する予定です。  
 すでにこの年齢を超えているお子さんでは補助対象となる可能性は低いと思われますので、自費での接種をお勧め致します。
 

子宮頸癌予防ワクチン

 皆さん方も新聞報道などでご存知と思いますが、ようやく定期接種化されたサーバリックスとガーダシルという商品名の人パピローマウイルスワクチンを「積極的勧奨は行わない」と厚労省が発表しました。
 いつぞやもこんな話があったような気がしませんか?そうです数年前に日本脳炎ワクチンが同じ扱いをされた事があります。
 今回の理由については、ワクチン接種後に「複合性局所とう痛症候群」を引き起こす例があり、回復が遅れている例もあるため一時的にこのような対応をとり、調査の結果次第で再開する事もあるというものです。前回の日本脳炎の時には「ADEM」よばれる神経障害がワクチン接種後におこったというものでした。
 委員会で調査を行ってその後の方針を決定するという点は全く当然の事ですが、それまでの対応については異論もあるところです。
 複合性局所とう痛症候群は、他の予防接種や採血、献血などの痛みを伴う処置の後や通常の生活の中でも発症する事が知られており、現時点でわかっているデータでは、その頻度については本ワクチン接種後の例も他の原因でおこった例も頻度にほとんど差がない事がわかっています。両ワクチンは世界中ですでに1億5000万回の接種が行われていて安全なワクチンとされていますが、欧米でも同様の報告がされています。しかし、両ワクチンの接種後と他の原因でおこった例との差が統計学的にない事から関連性はないであろうと結論されています。この結論が出るまでの接種についても当然ながら一旦中止などの措置はとられていません。
 先般の日本脳炎ワクチンの時も全く同じで、原因不明でおこった「ADEM」より日本脳炎ワクチン接種後におこった「ADEM」例の方が頻度は低かった事がわかっています。しかも一旦差し止めのような対応後に日本脳炎の患者さんが九州で報告されるや、「ワクチン接種は決して止めた覚えはない、製造中止としたために品薄でワクチン接種が出来ない人は蚊に刺されないように長袖を着用する事」とコメントを出しています。
 いずれのケースを見ても、科学的な根拠に乏しいのに責任問題の火の粉がかかってくる事を避ける事だけの対応と言われてもしょうがないように思います。多くの専門家を諮問委員会の中に抱えている行政組織が、最大限の配慮の上で国の方針を遂行する中でおこった事には全責任を負う事で国民に安心していただく事が当たり前の事のように思いますがいかがでしょうか。どちらに転んでも接種の決定はご両親が行ったので自分たちの責任ではない、こんな話は筋が通らないでしょう。
 一旦このような対応を国がとった後にワクチン接種が再開されても、マスコミはこちらの記事はあまり取り上げず、ご両親の気持ちにはわだかまりが残ってしまい接種率が回復しないことがしばしば見受けられます。ワクチン接種という予防法があったのに、接種しなかったため病気にかかってしまう方が増えることはなんとしても避けなければと思います。
 シュミレーションしてみると良くわかります。子宮頸癌で死亡する方が現在は年間3000人とされています。そのうちワクチンで80%は予防できるとされていますので、600人まで減少出来る事になります。これが、ワクチン接種が半減すれば1800人にまでしか減らない事になります。しかも定期検診を加えていけば、ほぼ100%予防可能と欧米では考えられているそうです。

 長文にお付合いしていただきありがとうございました。
とても大切な事ですので力が入ってしまいました。
 

子宮頸癌ワクチン接種中止のお知らせ

 当院としては、ワクチン接種と副作用と思われる症状の関係が明確になるまでの間、接種を平成27年6月29日以降中止いたします。  

 理由は以下の通りです。お読みになっていただき従来のワクチン接種を積極的に進めて来た立場からの転換理由をご理解下さい。  

 現在我が国では約300万回の接種が行われた結果、3500人程度の患者さんが報告されているようですが、詳細な分析から以下の事が新たにわかりました。  
 従来の厚労省からの公式発表では、「複合性局所とう痛症候群」が副作用のメインであるとした前提で、怪我や採血など他の痛みを伴うエピソードに続いて起こる頻度とワクチン接種後の頻度が同じであるとされていたが、痛みのみならず記銘力の低下、認知障害や学力低下などの種々の神経症状などを伴う例も多く、当初の診断は正しいとは言えず、別個の新しい疾患である可能性も考えられる。  
 まず、神奈川県の3都市で行った28日以内の急性期の副作用全数調査では、症状の種類や頻度を比較検討した結果、上位5位(注射部位の痛みやかゆみ、注射部位のはれや発赤、だるさや疲労感や脱力感、頭痛、発熱)の症状と頻度がほぼ同じである事がわかった。これは他のワクチン接種後より多い傾向にあるが、一過性のもので通常でも見受けられる副反応と考えられる。  
 問題となった「複合性局所とう痛症候群」とされた全身の痛みは、急性期を越えて続いたり、急性期後に新たに起こってくるケースも多い。上述した痛み以外の症状も同様で、これらは厚労省の把握していた副作用とは異なるものであるようだ。  
 加えるに、これらの症状が、英文論文発表後に得られたデンマーク、フランス、イギリスなどからのデータとほぼ同一で、ワクチン後副作用と考えられる主症状が酷似している事が判明した。  
 発生例数もワクチン接種400−500回に一人という数字もほぼ同様であり、我が国では報告方法の違いから少なめの数字となっている。  

 以上は平成27年6月27日の県小児科医会講演会にてY先生の講演から得た情報ですが、厚労省、予防接種委員会、ワクチンメーカーから従来得て来た情報とはあまりに異なり、説得力を持つ資料として大量に提示された事に驚きを隠せませんでした。ただしこの講演内容については、違った見解を持っている先生もまだ沢山います。最終的な結果がいずれになるのか、また全く違った結果になるのか予想が出来ませんが、従来の説明では納得出来ない問題点が明らかになり、副作用の発生頻度も当初言われていたよりはるかに多い事を考えると、個人的には現時点では現行の子宮頸癌ワクチンは中止せざるを得ないと方向転換致しました。    

 なお、すでに接種をされた方々には、静岡市では公費接種者全てにはがきでお知らせをすると発表しています。市への報告と同時に、ワクチン接種後に何らかの体調不良を来して現在も症状が残っている方は、ぜひ医療機関を受診して下さい。非常に多岐に渡る症状が報告されているので、ワクチンと関係がないと言いきれない可能性もあります。   
 最後にワクチン接種後6ヶ月以上経過して無症状の方については、その後の発症は可能性が少ないであろうとアドバイスを受けております事を付け加えさせていただきます。
 

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更新日:2015-09-11

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